2017年5月26日

どんな色の音楽?

『音楽の美術館』という、手のひらサイズの本。
音楽にまつわる「物」や「こと」が描かれた絵画作品が収録されています。


本の中からひとつ。


ラウル・デュフィ(1877~1953、フランスの画家)の「大音楽会(大オーケストラ)」。
1948年頃に描かれた作品です。

教会のオルガン奏者の父、ヴァイオリニストの母、兄弟もフルート奏者やピアノ教師という音楽一家に生まれたデュフィにとって、音楽はとても身近なもので、自身もピアノとヴァイオリンを演奏しました。
当時、シャルル・ミュンシュが指揮をしていたオーケストラの練習に熱心に通い、練習の邪魔にならないようティンパニストの横に座って、またはオルガンの足もとでデッサンをしていました。



画面全体が色彩で覆われ、細部までみっちり描いているわけではないのに、メロディやリズムが聞こえてきそうです。

デュフィは、J.S.バッハ、ショパンやドビュッシーなど作曲家へのオマージュ(尊敬を込めた作品)も描いています。


びっくりするのは「モーツァルトに捧ぐ」。


真っ赤!
情熱的な赤の後ろには、冷たい青色。
デュフィにとって、モーツァルトはこんなイメージなのでしょうか。
私は、モーツァルトの音楽に、激しく主張するような赤のイメージはありません。
デュフィとは感性合わないのかしら?


モーツァルトへのオマージュ作品は複数あり、真っ青な作品もありました。
私の中では、「デュフィ=青色」のイメージがありましたので、デュフィの作品と思うと、これはしっくりくるところもあります。


「デュフィ=青色」は、案外間違いでもないようで、過去の展覧会(2014年 愛知県美術館「デュフィ展」)の図録にこんなことが書いてありました。
『デュフィは青を特別な色彩とみなしていた。「青はそのすべての段階において、本来の個性を保ち続ける唯一の色彩である。最も濃いものから最も澄んだものまで、いろいろな表情をもった青を取り上げてみよう。でもそれはいつも青なのだ。」』


作曲家へのオマージュを数多く残したデュフィですが、逆に、デュフィも作曲家によってオマージュされています。
ストラヴィンスキー(1882~1971、ロシアの作曲家)が、1959年に『ラウル・デュフィ追悼の二重カノン』を作曲しています。
この曲を聞いた私の妹は、「火曜サスペンスみたいな曲」と言っていました…
確かに、不吉な響き。
色で言えばグレー。
暗闇です…

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